SOLO — web magazine
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FEATURE No.018
JA / EN
P.01 / P.12
COVER
ゴルナーグラート駅からマッターホルンを望む

FEATURE

Cheap,
Emo,
Cute.

Photo & Text — Naoya Toyota TTArtisan 35mm f/1.4 C × Fujifilm X-T30 Shot in Kyoto, Zermatt, Québec, NY, Seoul
SCROLL

単焦点レンズ TTArtisan 35mm f/1.4 C(35mm換算53mm)を愛用している。ミラーレス一眼 Fujifilm X-T30 と組み合わせて、主に旅行やアウトドアでこのレンズを2年ほど利用してきた。

この記事では、私がこのレンズを好きな理由を、「安い・エモい・かわいい」の3つの観点から述べる。

01

CHAPTER 01

安い

Cheap — F1.4 for Everyone

TTArtisan 35mm f/1.4 C は、非常に安価でありながらF1.4の明るさを誇るのが大きな特徴だ。

純正同等レンズ¥80,000

↓

TTARTISAN¥12,000

明るいレンズがたった1.2万円で手に入れば、誰もがカメラを楽しめる。お金がたまるまでの「消化試合」の時間がもったいない。最初から明るいレンズを使えれば撮影機会を逃さないし、写真の上達も早まると思う。

F1.4 — Kamogawa, Kyoto明るいレンズだから開放で撮ればとろとろボケる。鴨川沿いでKindle読書をするチルさを見出した時の写真。
鴨川沿いでKindleを読む
山科の菜の花
F1.4 — Yamashina, Kyoto開放付近で撮影した例。前ボケで手前の菜の花を水彩画調にして桃源郷っぽさを演出した。

01 — 02故障を心配せず、
ガンガン使える

どんな環境でもすぐに撮影できるカメラが、私の理想のカメラだ。カメラはケースに入れずバッグに無造作に詰め込んで、撮りたい瞬間にすぐ取り出せる状態にしたい。

1.2万円なら、たとえ壊してしまっても簡単に買い替えられる。だからレンズをかばうことなく、水分混入や傷を気にせずおもいっきり撮影できる。

ちなみにカメラケースを使わずバッグに放り込む運用で、荒天時や山・海で何度も使ってきたが全く壊れていない。軽量で、オートフォーカスを搭載していない単純な機構だから、壊れる部分が少ないのだと思う。

雪のケベックシティ
Snow — Québec City防水レンズではないけれど、安価だから雪による水分混入を気にせず撮影できた。
大雨のルツェルン
Rain — Lucerneレンズに雨が混入し、変な屈折が生まれてアーティスティックな写真に仕上がった。なお、一晩乾燥させたら復活した。
02

CHAPTER 02

エモい

Emo — Context over Perfection

このレンズはシャッターを押すだけで簡単に撮れる訳ではない。フォーカスも絞りも、被写体との距離も、自分の足で調節する必要がある。しかし、これらを私は長所と捉えている。

02 — 01撮影者の眼差しの
追体験

とある写真家が、写真の本質は撮影者の眼差しの追体験であると言っていて、私はこの発言に共感している。良い写真を撮ることよりも、良い思い出を残すことが写真の目的になる。

マニュアルフォーカスの単焦点レンズだと特に、「エモい」写真を撮ることを矯正される。すべてマニュアルで操作するしかないから、撮られた写真には撮影者の意図が宿る。

例えばピントを外した写真。オートフォーカスなら単なる失敗写真だが、マニュアルフォーカスならば、ピントを外した事実にも意味が宿る。

Contact Sheet — 失敗こそが記憶になる

18A ▸ 突然現れたシカ
ぬん。突如シカが現れた。フォーカスが間に合わず中途半端な位置にピントが置かれたが、急にシカの襲撃をうけた様子が伝わって良い。
19A ▸ 初めてのアメリカで最初に撮った写真
初めてのアメリカで最初に撮った一枚。スリを警戒して胸の高さで撮影。ストラップが映り込んでいるが、だからこそチキっていた心情が思い起こされる。

「自分と世界の、
距離感を表現できる」── 写真家・石川直樹

単焦点レンズはズームできないからこそ、野生動物との距離感、フレームに収まりきらない風景を客観的に表現できる。二〇二〇年、東京都立多摩図書館での講演より。

春の東寺の花見客
F1.6 — Tō-ji, Kyoto花より団子ならぬ、花よりインスタ映えな現代の花見風景。(かく言う私もその一人。)単焦点だからズームできず、左下の人々も含めて眼の前の光景をそのまま撮影した。
蔣介石像と人々
Taipei蔣介石を中心に据えるのが普通の構図だが、レンズを左に向け手前の人々を主題にしたことで、建国の父が人々を見守るような印象になった。普通の構図はスマホの広角で撮ればいい。

02 — 03無難な写真は、
スマホで撮ればいい

画質がきれいで過不足ない構図の普通の写真は、スマホでも撮影できるし、もはやInstagramを漁れば無限に出てくる。

そんな時代にわざわざミラーレス一眼を携えるからには、自分が撮ったことによる付加価値を生みたい。マニュアル単焦点という少々融通が利かない機材で、撮影者の動きが介在する写真を撮る。そういうスタイルがあるのだと思う。

このレンズは逆光耐性が低く、光源に向けるとフレアやゴーストが発生する。そのようなクセも含めて、スマホとは一味違う写真が撮れて面白い。つまり、エモいのだ。

逆光でもやがかかった写真
Flare逆光耐性が低く、もやがかかったような写真になる。そのおかげでソフトな朝の光につつまれた優しい雰囲気になった。
光芒とゴースト
Ghost光芒もゴーストもマシマシでちょっとやり過ぎな気もするが、スマホでは撮れない印象的な写真に仕上がった。
03

CHAPTER 03

かわいい

Cute — Silver & Small

シルバーボディのカメラがかわいくて好きだ。TTArtisan 35mm f/1.4 C は安価なのにシルバーカラーが用意されている。

シルバーのレンズとX-T30
Silver × Silverカメラもレンズもシルバーで揃えると、クラシカルでかわいい。

周囲の人を、
威圧しない。

クラシカルでプロ感がないカメラなら周囲の人を威圧しないし、被写体も自然な表情でいられる。いかにもプロといった雰囲気のでかい一眼レフだと、友人の表情はこわばってしまう。

フォトグラファーの内田ユキオ氏はRICOH GRのイベントで、笑顔の子どもたちの写真を示しながら「これはコンパクトなGRだから撮れた笑顔です」と語っていた。私のカメラにも同じことが言えるだろう。

ニューヨークのバー
Bar — New Yorkこのカメラならバーの雰囲気を壊さずに撮影できる。
モントリオールの広場
Plaza — Montréal観光地ではない普通の街を撮るのにも、このカメラは向いている。
ソウルのカフェ
Café — Seoulコンパクトでクラシカルな見た目だから、カフェで一眼を取り出しても「業者感」が出ないのがいい。昌慶宮の見えるカフェにて。

560g

レンズとボディを合わせても約560g。片手で操作でき、小さいバッグにも収まる。
この機動性のお陰で、旅行・街歩き・登山、どこへでも持っていける。

シルバーのカメラたち
My Silver Cameras私が愛用してきたシルバーのカメラたち。左上: D-LUX 7、左下: X20、右: X-T30。この見た目のカメラに全幅の信頼をおいている。
ブルックリンの蚤の市のカメラ

さあ、次はカメラを持って
どこへ行こうか。

Colophon — 奥付

安くて、エモくて、かわいいレンズ
TTArtisan 35mm f/1.4 C(+ Fujifilm X-T30)

写真・文 — Naoya Toyota
初出 — note(2025年1月)/本誌面はwebマガジン化プロトタイプ
本誌は、誰もがSNSのフォーマットに収まらず「一冊」を出版できる時代の実験として、AIとの協働で組版された。
撮影地 — 京都・ツェルマット・ルツェルン・ケベック・ニューヨーク・モントリオール・ソウル・台北ほか
機材 — TTArtisan 35mm f/1.4 C / Fujifilm X-T30

Shop List — この号の買い物

Specifications

レンズ
TTArtisan 35mm f/1.4 C
焦点距離
35mm(換算53mm)
開放F値
F1.4
フォーカス
マニュアル
ボディ
Fujifilm X-T30(Silver)
実勢価格
約 ¥12,000